『悪の花』117 愛の神と髑髏

愛の神と髑髏

愛の神は座っている、
人類の髑髏の上に。
この玉座の上にいる不敬虔な者が
恥知らずの笑みを浮かべ、

陽気に丸いシャボン玉を吹けば、
空の中を上っていく、
まるでエーテルの奥にある
世界に辿り着かんとばかりに。

光り輝く危うい球体は
勢いよく飛び上がると、
弾けて弱々しい魂を吐き出す、
まるで黄金の夢のように。

私には聴こえる、髑髏が泡のそれぞれに
懇願し、呻く声が。
―「この残忍で馬鹿げた遊びは
いつになったら終わるのか?

お前の残酷な口が大気に
撒き散らすものは、
人殺しの怪物よ、それは私の脳髄、
私の血、そして私の肉なのだ!」