『悪の花』003 上昇

湖を越えて、谷を越えて、
山を、森を、雲を、海を越えて、
太陽の向こう、エーテルの向こう、
星を散りばめた球体の境界の向こうへ、

私の精神よ、お前は軽やかに身を動かし、
波の中で恍惚としている優れた泳ぎ手のように、
言葉にしがたい男性的な欲望によって、
陽気に、奥深い広大な空間を耕していくのだ。

病的な瘴気から遠く離れて飛び行け、
遥か上の大気の中で身を清めに行け、
そして、純粋で聖なる蒸留酒のように、
澄んだ空間を満たしている輝く炎を飲め。

その重みで霧がかった存在を押しつぶそうとする
憂鬱と、広大な悲しみの背後で、
力強い翼によって、
光り輝く澄んだ土地へと飛び立つ者に、幸あれ!

そしてまた、その思考がヒバリのように
朝の空へと向かい自由に羽ばたく者に、
― 生の上を飛び回り、努力せずとも
花々と無言のものたちの言葉を理解する者に!