『悪の花』 050 曇り空

君の眼差しは、蒸気に包まれているかのようだ。
君の不思議な目は(青色、それとも灰色、緑色?)
代わる代わる優しげ、夢見心地、または残酷で、
物憂げで青ざめた空を映し出している。

君は、白くて生ぬるく、雲に覆われた日々を思わせる。
心を蝕む見知らぬ苦痛に揺さぶられ、
目覚めきった神経が眠っている精神をからかうとき、
魔法に掛けられて心たちを涙の中に溶け合わせるような日々を。

時おり君は、あの美しい地平線に似ている。
霧がかった季節の太陽が火を灯すような地平線に。
なんと君は輝いていることか、曇り空から
零れ落ちる光が燃え上がらせる濡れた風景よ!

おお、危険な女よ、おお、魅惑的な季節たちよ!
私は君の雪をも、君たちの氷霧をも愛するのだろうか、
そして冷酷な冬から、氷や剣よりも鋭い
快楽を引き出すことが出来るのだろうか?