『悪の花』 053 旅への誘い

旅への誘い

わが娘よ、わが妹よ、
思ってごらん、甘美なことにも
遠くに行って、ともに生きることを!
自由に愛し、
愛しあって、死に行こう、
君に似た国で!
曇った空の上
潤んだ太陽は、
私の精神にとって、
涙を越えて輝く
君の裏切り者の瞳と同じ、
実に不思議な魅力を持つ。

そこでは、全てが秩序と美、
奢侈と、静けさと欲望。

輝く家具は
歳月に磨かれ、
我々の部屋を飾り立てるだろう。
何より貴重な花々が、
その香りに混ぜるのは、
錨のかすかな臭い。
豪奢な天井、
深い鏡、
東方の偉大さ、
全てがそこで話すだろう、
魂に向けてこっそりと、
その故郷の優しい言葉を。

そこでは、全てが秩序と美、
奢侈と、静けさと欲望。

見てごらん、運河の上に
幾つも船が眠っている、
その気性はさすらい者。
君の僅かな欲望をも
満たすためにと
世界の果てからやって来ている。
―沈む夕日が
畑を彩る、
運河や、街の全体をも、
紅と金の色で。
世界は眠りに就こうとしている
暖かな光の中に。

そこでは、全てが秩序と美、
奢侈と、静けさと欲望。