『悪の花』075 憂鬱

憂鬱

雨月は、街全体に対して苛立ち、
その甕から大量に、暗い冷気を
墓場の隣に住む青ざめた住人たちへと、
そして、死を、霧がかった町の外れへと流し込む。

僕の猫は、敷石のうえで寝床を探しながら、
休みなく、その痩せた疥癬の体を震わせている。
老いた詩人の魂は、雨どいの中を、
寒がりの幽霊の悲しげな声とともにさまよう。

低音が呻き声を上げ、いぶされた薪が
ファルセットで、風邪を引いた柱時計の伴奏をする。
その間にも、汚れた香りで満たされたトランプという

水腫病の老婆が残した運命の遺産の中で、
美しいハートのジャックと、スペードの女王とが、
彼らの息絶えた恋について、陰鬱な会話をしている。