『悪の花』080 虚無の嗜好

虚無の嗜好

私の澱んだ精神よ、お前も昔は戦いを好んで挑んだものだったね。
そして希望は鞭打って、お前の情熱を駆り立てていた。
けれど、今じゃお前に跨ろうともしない。だからもう眠ってしまえ、恥も捨てて。
老いぼれた馬よ、今じゃお前は一歩進むたび何かに躓いているじゃないか。

諦めてしまえ、私の心よ。ケモノの眠りにひたっていなよ。

打ち負かされ、疲れ切った精神よ。老いぼれた盗人よ、お前にとっては、
愛なんて、もう口げんかほどの魅力もありはしない。
だからもう行ってしまえ、トランペットの歌声も、フルートの悲しい音色も。
快楽よ、陰気で満たされない心をこれ以上惑わさないでくれ。

愛らしき春は、もうその香りを失ってしまった。

そして、時間が私を一分一分と飲み込んでいく。
まるで大雪が凍りついた体を飲み込んでいくように。
だが私は、この高みから丸みを帯びた地球を眺め、
もう隠れるために山小屋を探したりはしない。

雪崩よ、お前はその転落の中に私を連れ去ろうというのか?