『悪の花』083 己を処刑する者

己を処刑する者

怒りもなくお前を打とう、
憎しみもなく、肉屋のように、
モーゼが岩を打つように!
そしてお前のまぶたから、

私のサハラを潤すために、
苦しみの水を湧き上がらせよう。
期待に膨らんだ私の欲望は
お前の塩の涙の上を泳ぐだろう、

大海に漕ぎ出した船のように、
そして涙に酔った私の心には、
お前の愛しい嗚咽が鳴り響くだろう、
突撃を告げる太鼓のように!

私とは、神聖な交響曲の中の
誤った和音ではないのだろうか?
私を揺さぶり私に噛み付く
貪欲な皮肉のおかげで。

その喧しい女は私の声の中に居る!
それは私の血のすべてだ、この黒い毒薬だ。
私とは、メガイラが姿を映す
不吉な鏡だ。

私とは、傷口にして短刀!
平手打ちにして頬!
四肢にして拷問の車輪、
生贄にして死刑執行人!

私とは私の心の吸血鬼、
――永遠の笑いを宣告され、
もはや微笑むことの出来なくなった
あの偉大な見捨てられた者たちの一人!