『悪の花』090 七人の老人

七人の老人

蟻塚のように蠢く都市よ、夢に溢れた都市よ、
そこでは真昼から亡霊が通行人の袖を引き寄せる!
神秘がいたるところを、強靭な大男の
細い運河の中を流れる樹液のように流れている。

ある朝、うら寂しい通りでは
同じ高さまで立ち上った靄のために、家並みが
増水した小川の両岸に似る頃、
そしてまた、役者の魂に似た背景として

汚れた黄色い霧が空間全体を浸す頃、
私は突き進んでいた、主人公のように神経を尖らせて、
既に疲れてしまった私の魂と議論しながら、
重々しい荷車の音が鳴り響く界隈を。

突然、一人の老人が、雨の降りそうなこの空を
真似ているかのような黄色いぼろ服を着て、
その目に宿る意地悪ささえなければ、
施しを雨のように降らせるであろう表情をして、

私の前に現れた。老人の瞳は、胆汁に漬かって
いるかのようだった。その目が氷霧をさらに厳しくしていた。
長く伸びた髭は、剣のように強張って、
突き出しているのは、ユダの髭にそっくりだった。

その背骨は、曲がっているというよりも、砕けていて、
足との間に完全な直角三角形を作っていた。
それに加えて杖を付いているのが仕上げとなって、
不具の四脚獣か、三本脚のユダヤ人のような

風采とぎこちない足取りをしていた。
雪と泥の中、足をもつらせながら歩く姿は、
まるで世界に対して無関心というよりも敵意を抱いて、
木靴で死者たちを踏み潰しているかのようだった。

そっくりな者が続いてやってきた。髭、目、背中、杖、ぼろ着、
どの特徴も、地獄からやってきたこの百歳の双子を
区別することは出来なかった。このバロック風の幽霊たちは
同じ足取りで見知らぬ目的地へと歩いていた。

どんな陰謀の的に私はなっていたのだろうか、
どんな危険な運命が私を辱めていたのか?
というのも、私は七度数えたのだ、一分一分と、
この不吉な怪物がその数を殖やしていくのを!

もしも私の不安を笑う者がいるなら、
同胞への愛情に身を震わせぬ者がいるならば、
創造してみるがいい、老衰しきっているにも関わらず
この七人のおぞましい怪物たちは不死の様相を呈していたのだ!

はたして私は死ぬことなく八人目を見ることが出来ただろうか、
冷酷な瓜二つの、皮肉で致命的な者、
不快な不死鳥、己自身の子にして父である者を?
―しかし私は地獄の行列に背を向けた。

ものが二重に見える酔っ払いのように心を乱して、
私は帰った、そして扉を閉めた、恐怖に駆られて、
病に落ちて身は凍えて、精神は熱を帯び震えて、
神秘と不条理によって傷ついていた!

甲斐もなく私の理性は舵をとろうとしていたが、
嵐は荒れ狂い、その努力を妨げていた。
そして私の魂は踊っていた。古くなった貨物船のように踊っていた、
マストもなく、怪物のような、岸辺もない海の上を!