『悪の花』098 嘘への愛

嘘への愛

君が通り過ぎるのを見る時、おお、愛しい物憂げな人よ、
天井に砕け散る楽器の歌声に
君の調和に満ちてゆっくりとした足取りが釣り下がり、
君の深遠な眼差しの憂鬱をさまよわせていて。

君の青ざめた額が、ガスの炎に彩られているのを眺める時、
それは病んだ魅力によって、より美しくなり、
そこでは、夕べのたいまつが曙に火を灯し、
君の両目は肖像画の目のように心を惹きつけていて。

それで私は一人呟く、彼女は美しい! そして奇妙なくらいに瑞々しい!
重々しい思い出は、王に相応しい重厚な塔となって、
彼女の額を飾り、そして彼女の心は、桃のように痛みながらも、
賢明な愛によって、彼女の肉体のように、熟している。

君は、至高の味をもった秋の果実か?
それとも君は、涙を待っている葬式の壺か、
遥か彼方のオアシスを夢見させる香水か、
愛撫を与える枕か、花で編まれた籠か?

私は知っている、最もメランコリックな眼の中にも、
貴重な秘密をまったく包み隠していないものがあることを。
それは宝石のない美しい宝石箱、形見のない形見入れ、
それはお前よりも空虚で深淵だ、おお、大空よ!

しかし、真実から逃れようとする心を喜ばせるために、
君が外見でしかないことは十分でないだろうか?
君の愚かさや、君の無関心が何になろうか?
仮面でも飾りでも、幸あれ! 私は君の美しさを愛する。