『悪の花』013 旅するジプシー

預言者の一族は、熱い瞳をして
昨日旅路についた。子どもたちを
背負って、もしくはその誇らしげな食欲に
いつも用意のできた垂れ下がる乳房の宝をあてがって。

男たちは輝く武器をかついで歩く、
家族たちがうずくまる馬車のわきを。
不在の幻影を惜しむ陰気な心で
重たくなった視線を空に這わせる。

砂の住まいの奥深くで、コオロギは
彼らが通り過ぎるのを見つめながら歌声を高める。
彼らを愛するキュベレーは、その緑を深め、

岩から水を沸き出でさせ、砂漠に花を咲かせ、
この旅人たちの前に差し出す。彼らのためには
未来の暗闇の親しき帝国が開けている。