『悪の花』014 人と海

自由な人よ、いつまでもお前は海を慈しむだろう!
海はお前の鏡なのだ。お前は自分の魂を、
あの波の無限に続く動きの中に見出している。
そしてお前の精神も、同じように苦い深淵なのだ。

お前は自分の似姿の中に、好んで身を沈めようとする。
お前はその目とその腕で海を抱きしめ、お前の心は
この飼い慣らし難い野生の呻き声の響きの中、
幾度となく、自分自身のざわめきから気を紛らわす。

お前たちはともに、暗く、慎み深い。
人よ、誰一人としてお前の深淵の底を測ったことはない。
海よ、誰一人としてお前の秘められた豊かさを知りはしない。
それほどまでに、お前たちは自らの秘密を必死に隠している。

だがその一方で、数え切れない世紀の間、
お前たちは憐れみも後悔もなく争ってきた。
それほどまでにお前たちは殺戮と死を好んでいる、
永遠の闘争者たちよ、冷酷な兄弟たちよ!