ボードレール「旅への誘い」(中級編)

ボードレールとは?

ボードレールの「旅への誘い」を一緒に読んでいく前に、「ボードレールってどんな人?」と気になった人は、まずはこちらからどうぞ。

詩人「シャルル・ボードレール」の紹介ページへ

 

 


「旅への誘い」について

IMG_1836_f

この詩は、「私」が恋人に語りかけるという設定で書かれています。そこで「私」は遠い土地への旅やそこでの暮らしを恋人に想像させます。
なんとも切なく甘い旅への誘い(!)

 


詩の情景を見てみよう

作品を読む前に、どのような情景なのか、ちょうどこの詩の情景を映像化した作品がyoutubeにあがっているので見てみましょう。

 

 

どうでしたか?
男女の恋愛の機微と甘く切ない空想の旅が感じ取れたのではないでしょうか。

 

それから、もうひとつ。
アンリ・マティス (1869-1954)というフランスの画家が、この詩をイメージした絵画を描いています。

83869
「奢侈、静けさ、快楽(Luxe, calme et volupté)」(1904)

 

詩の情景がイメージできたでしょうか?

この動画を見て、詩の雰囲気が伝わってきましたか?

View Results

読み込み中 ... 読み込み中 ...

 


詩の朗読を聴いてみよう

さて次は、フランス語原文の朗読をYouTubeで聴いてみましょう。今度はフランス語の音の雰囲気を感じてみてください。ちなみに、今回は女性と男性それぞれによる朗読を用意しました。

 

朗読1

 

朗読2

 

どちらの方が好みでしたか?
同じ詩の朗読でも、読み方や声によって詩の雰囲気が全然違ってくるのが不思議ですね。

 

「旅への誘い」の2つの朗読のうち、どちらのほうが気に入りましたか?

View Results

読み込み中 ... 読み込み中 ...

フランス語テキストと和訳

今度は実際に詩の言葉を読んでみましょう。

 

フランス語原文 日本語訳
Invitation au voyage

Mon enfant, ma sœur,
Songe à la douceur
D’aller là-bas vivre ensemble !
Aimer à loisir,
Aimer et mourir
Au pays qui te ressemble !
Les soleils mouillés
De ces ciels brouillés
Pour mon esprit ont les charmes
Si mystérieux
De tes traîtres yeux,
Brillant à travers leurs larmes.

Là, tout n’est qu’ordre et beauté,
Luxe, calme et volupté.

Des meubles luisants,
Polis par les ans,
Décoreraient notre chambre ;
Les plus rares fleurs
Mêlant leurs odeurs
Aux vagues senteurs de l’ambre,
Les riches plafonds,
Les miroirs profonds,
La splendeur orientale,
Tout y parlerait
A l’âme en secret
Sa douce langue natale.

Là, tout n’est qu’ordre et beauté,
Luxe, calme et volupté.

Vois sur ces canaux
Dormir ces vaisseaux
Dont l’humeur est vagabonde ;
C’est pour assouvir
Ton moindre désir
Qu’ils viennent du bout du monde.
— Les soleils couchants
Revêtent les champs.
Les canaux, la ville entière,
D’hyacinthe et d’or ;
Le monde s’endort
Dans une chaude lumière.

Là, tout n’est qu’ordre et beauté,
Luxe, calme et volupté.

旅への誘い

わが娘よ、わが妹よ、
思ってごらん、甘美なことにも
遠くに行って、ともに生きることを!
自由に愛し、
愛しあって、死に行こう、
君に似た国で!
曇った空の上
潤んだ太陽は、
私の精神にとって、
涙を越えて輝く
君の裏切り者の瞳と同じ、
実に不思議な魅力を持つ。

そこでは、全てが秩序と美、
奢侈と、静けさと快楽。

輝く家具は
歳月に磨かれ、
我々の部屋を飾り立てるだろう。
何より貴重な花々が、
その香りに混ぜるのは、
錨のかすかな臭い。
豪奢な天井、
深い鏡、
東方の偉大さ、
全てがそこで話すだろう、
魂に向けてこっそりと、
その故郷の優しい言葉を。

そこでは、全てが秩序と美、
奢侈と、静けさと快楽。

見てごらん、運河の上に
幾つも船が眠っている、
その気性はさすらい者。
君の僅かな欲望をも
満たすためにと
世界の果てからやって来ている。
―沈む夕日が
畑を彩る、
運河や、街の全体をも、
紅と金の色で。
世界は眠りに就こうとしている
暖かな光の中に。

そこでは、全てが秩序と美、
奢侈と、静けさと快楽。


練習問題をやってみよう!

それでは、ここから少しずつ、詩の中で用いられているフランス語表現について学んでいくことにしましょう。詩では、単語の意味や綴りだけでなく、単語の「音」も大事になってきます。その点にも注意してみてください☆ 今回もQuizletという無料学習ツールを使っています。

 

ステップ1「単語を覚えよう①」

ステップ1では、「旅への誘い」の前半で使われている単語やイディオムを確認していきましょう。

ステップ1を始める

 

 

ステップ2「単語を覚えよう②」

ステップ2に出てきた単語が一通り覚えられたら、今度は詩の一行一行に注目してみましょう。ステップ1と同様に詩の前半が対象です。

ステップ2を始める

 

 

ステップ3「音で遊ぼう」

基本的な単語は覚えられたかな? 「旅への誘い」についてさらに理解を深めるために、最後は「音」に注目しながら総仕上げしましょう♪

ステップ3を始める

 

 

ページトップへ