プレヴェール「朝の食事」(初級編)

詩人ジャック・プレヴェールとは?

プレヴェールの「朝の食事」を一緒に読んでいく前に、「プレヴェールってどんな人?」と気になった人は、まずはこちらからどうぞ。

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「朝の食事」について

cafe

この詩は、とある朝の食卓が舞台になっています。詩のなかで描かれるのは「彼」という男の人。おそらくこの詩は、この「彼」という男の人の恋人によって語られているものなのでしょうね。「彼はコーヒーを入れた」「彼は帽子をかぶった」といった、一見なんてことのないごく平凡な表現の積み重ねによって、この朝における「彼」と「語り手」というカップルの心情がたくみに描かれています。

 


詩の情景を見てみよう

それでは実際に作品を読んでみましょう! と言いたいところですが、いきなりフランス語の原文や、訳文を読むのはちょっと・・・という人もいるかもしれません。そういう人のためにも、ちょうどこの詩の情景を映像化した作品がyoutubeに挙がっているので、まずそれを見てみましょう。

 

 

どうでしたか? 言葉を交わすことも無く、たんたんと過ぎて行く朝の日常的な情景ですが、そのなかにも、二人のすれ違う心情が感じられたのではないでしょうか。

 


詩の朗読を聴いてみよう

それでは、こんどこそ本当に、詩の原文に触れてみましょう! まずは、意味は分からなくても、とりあえずフランス語原文の朗読をYouTubeで聴いてきましょう。意味は分からなくても良いんです! ここではこの詩が持つフランス語の音の雰囲気を感じてみてください。

 

 

コーヒーを入れて、ミルクを入れて、砂糖を入れて・・・、タバコに火をつけて・・・。「イラミ・・・」という音が繰り返されつつ、男の人の動作がひとつずつ描かれているのに気が付きましたか? この文章の繰り返しが詩のリズムを作っているのです。詩の最後は、男の人に取り残された女の人が手に顔をうずめて泣くシーン。別れの情景がひしひしと伝わってきます。う~ん、悲しい・・・!


フランス語テキストと和訳

続いて、今度は実際に詩の言葉を読んでみましょう。フランス語をあるていど勉強している人は、左側のフランス原文を中心に、まだフランス語の勉強は始めたばかりという人は、右の日本語訳を読んでみてください。

 

フランス語原文 日本語訳
Il a mis le café
Dans la tasse
Il a mis le lait
Dans la tasse de café
Il a mis le sucre
Dans le café au lait
Avec la petite cuiller
Il a tourné
Il a bu le café au lait
Et il a reposé la tasse
Sans me parlerIl a allumé
Une cigarette
Il a fait des ronds
Avec la fumée
Il a mis les cendres
Dans le cendrier
Sans me parler
Sans me regarder

Il s”’est levé
Il a mis
Son chapeau sur sa tête
Il a mis
son manteau de pluie
Parce qu’il pleuvait
Et il est parti
Sous la pluie
Sans une parole
Sans me regarder

Et moi j’ai pris
Ma tête dans ma main
Et j’ai pleuré.

彼はコーヒーを
カップに入れ
彼はミルクを
コーヒーカップに入れた
彼は砂糖を
カフェオレに入れ
小さなスプーンで
彼はかきまぜた
彼はカフェオレを飲み
そしてカップを置いた
私に話しかけることもなく彼は火をつけた
タバコに
彼は輪っかを作った
煙で
彼はタバコの灰を
灰皿に落とした
私に話しかけることもなく
私を見ることもなく

彼は立ち上がった
彼はかぶった
帽子を頭に
彼は着た
レインコートを
なぜなら雨が降っていたから
そして彼は出て行った
雨の中
言葉もなく
私を見ることもなく

そして私は
手に顔をうずめ
そして泣いた。

詩の雰囲気が少し分かってきたら、上で聞いた朗読を流しながら、この和訳とともにテキストを読んでみるとよいでしょう♪

とはいえ、まだフランス語の学習を始めたばかりという人にとっては、意味の分からない単語だらけで、原文を味わうのは難しいかもしれません・・・。やっぱり、詩を楽しむためには、最低限の単語の知識も必要ですね・・・。ということで、ここから少し、勉強モードに入りましょう! ちょっとしんどいかもしれないけど、少し勉強するだけで、この詩がぐんと味わえるようになりますよ!


練習問題をやってみよう!

それでは、ここから少しずつ、詩の中で用いられているフランス語の単語の意味を学んでいくことにしましょう。たいていの単語は日常会話でも良く使う基本的な単語です。Quizletという無料学習ツールを使って、おおよその綴りと発音に慣れていきましょう。

 

ステップ1「名詞を覚えよう」

ステップ1では、「朝の食事」で使われている単語のうち、「カフェ」や「カップ」といった名詞のフランス語を学習していきましょう。えっ? フランス語の単語にはヘンな棒が付いていたりして(ヘンな棒でなくて「アクセント記号」と言います・・・)、単語を覚えるのが面倒だって? 大丈夫、大丈夫。今回は初級編なので、単語のスペルは書けなくっても大丈夫。絵合わせパズルの要領で、日本語(写真付き)とフランス語のペアを見つけてもらうだけでOK。だからちょっとだけ頑張って、チャレンジしてみませんか?

ステップ1を始める

 

 

ステップ2「動詞を覚えよう」

ステップ1に出てきた名詞が一通り覚えられたら(綴りは書けなくても今は構いませんよ~)、今度は動詞に挑戦してみましょう。

ステップ2を始める

 

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