『悪の花』004 照応

自然は一つの神殿。そこでは生きた柱が
ときおり困惑した話し声を洩らす。
人間がそこを通るとき、象徴の森が
彼を親しげな眼差しで観察する。

暗くて、そして深遠で
夜のように、輝きのように広大な統一の中
遠くで溶け合う長い響きのように、
香りと色と音とが応え合う。

ある香りは、子どもの肉体のようにみずみずしく、
オーボエのように優しく、草原のように青々としている。
そしてまた他のものは、腐敗し、豊かで、勝ち誇り、

拡張していくその限りないものは、
竜涎香、麝香、安息香、薫香のように、
精神と感覚の熱狂を歌う。