『悪の花』005 僕は愛する、裸の時代の思い出を

フェビュスが好んで石像たちを黄金に染めていた、
あの裸の時代の思い出を僕は愛している。
その頃、男も女も敏捷に、
嘘も不安も持つことなく、喜びを味わっていた。
そして愛情豊かな天が、彼らの背骨を愛撫し、
彼らの気品溢れる諸器官を鍛えていた。
キュベラはその頃、豊かな作物を実らせていて、
自らの子どもたちを重荷と思うこともなく、
公平な優しさに膨らむ心を持った雌オオカミとして、
その褐色の乳房で世界を潤していた。
男は、優雅で、たくましく、強靭で、
彼を王と呼ぶ美女たちを誇らしく思うだけの権利があった。
彼女たちは、あらゆる侮辱を知らず、皺一つないまでに無垢で、
滑らかで引き締まったその肉体が欲望を誘っていた。

今日<詩人>が、この生来の偉大さを、
男や女の裸体を見ることが出来る場所で、
見出そうと望んだとしても、
おぞましさで溢れかえるこの暗黒の光景を前にして、
冷たい暗闇によって彼の心が包まれるのを感じるだけ。
自分たちの衣服を泣いて求める怪物たちよ!
無様な胴体よ! 仮面で覆い隠すべき上体よ!
捩れて、やせ細り、腹の突き出て、肉のたるんだ哀れな肉体よ、
冷酷で平然とした<利便性>の神が、
青銅の産着でくるんだ子どもたちよ!
そして、お前たち女は、蝋燭のように青ざめ、
身を削って放蕩を育てている! そしてお前たち生娘は、
母から悪徳という遺産を受け継ぎ、
そして生殖力のあらゆるおぞましさを引き連れている!

確かに、僕たちは堕落した国家として、
古代の人々の知らなかった美を持っている。
それは、心の腫瘍に顔まで蝕まれた
物憂さの美というようなものだ。
僕らの遅れてきた女神によるこの発明は、
病んだ民族たちが、その青春期に深い敬意を
払うことをけっして妨げはしない。
― 聖なる青春期のために。純朴な様子で、額は優しく、
瞳は流れる水のように澄みわたり、輝き、
そして、あらゆるものの上に、天の青空や鳥たちや花々のように
気楽に、芳香と、歌と、心地よい熱気を
撒き散らす、青春期のために!