『悪の花』091 小さな老婆たち

小さな老婆たち
I

老いた首都の曲がりくねったひだの中、
あらゆるものが、恐怖でさえもが魅力と化す中、
私は致命的な気質のままに待ち伏せる、
歳をとれども魅力的な、奇妙な存在たちを。

がたがたの関節のこの怪物たちもかつては女だった、
エポニーヌにしろライースにしろ! 打ちひしがれ、せむしで、
捩れていようとも、この怪物たちを愛そう! それらもいまだ魂なのだ。
穴の開いたスカートと冷たい布地の下で、

それらは這いずっている、邪悪な北風に鞭打たれ、
乗合馬車の車輪の騒音におびえながら、
花やら文字のようなものやらを刺繍した小袋を
聖遺物のように小脇に抱えながら。

それらは小走りに歩く、操り人形そっくりに。
怪我をした動物のように足を引きずる者、
もしくは踊る気もないのに踊る者、憐れな呼び鈴だ、
そこに悪魔が憐れみもなく釣り下がっている! すっかり壊れて

しまったとはいえ、それらの眼は錐のように突き刺し、
夜の中に水の眠る穴のように光り輝く。
その眼は少女の眼のように神聖で、
光るものすべてに驚き、そして笑う。

――あなたは気付いたことがあるだろうか? 老婆たちの棺の多くは
子どもたちの棺とほとんど同じくらいに小さい。
叡智ある死はその同じような棺の中に
奇妙で心を奪う感覚の象徴を置いている。

虚弱な幽霊のうちの一人が、パリという
人のひしめく絵画を横切っているのを眼にする時、
私はいつも思うのだ、このもろい存在は
ゆっくりと新たな揺りかごへと向かっているのではないかと。

さもなければ、幾何学に思いを凝らし、
この不釣合いな四肢を見て私が思案するのは
職人は、この肉体全てを入れるための
箱の形を何度変えなければいけないのだろうかということだ。

――その眼は百万の涙で作られた井戸、
冷たくなった金属がメッキをほどこした坩堝…
厳格な不運の乳で育った者にとって、
この不思議な眼は打ち勝ちがたい魅力を持つ。

II

今はなきフラスカティの恋するウェスタの巫女、
タレイアの女祭司! 埋葬された台詞吹き込み係が
その名を知る女、かつてチボリが
花の中に木陰を与えた名高き軽薄な女、

全ての女たちが私を酔わせる! しかしこのかよわい存在たちの内、
なかでも特に、苦痛を蜜に変えながら
彼らに翼を差し出す献身に向かってこう言った者たちがいる、
「強靭なヒッポグリフよ、私を天まで運んでくれ!」と。

ある者は、祖国に不幸を強いられ、
またある者は、その夫に苦しみを課せられ、
またある者は、その子どもに突き刺された聖母。
あらゆる者がその涙で一本の大河を作りえただろう。

 

III

ああ! どれほど私はこの小さな老婆たちの後をつけたことか!
なかでもとりわけ、沈む太陽が
空を真っ赤な傷で血に染める時刻に、
考え深げにひとり離れてベンチに腰掛けて、

いつものように豊かな金管楽器のコンサートを聴いていた。
楽隊の兵士たちはときおり我らの庭園に溢れかえる。
その音楽は、自分が生き返ったように感じるような夜、
都市の住民の心にヒロイズムを注ぎ込む。

その女は、まだ背もまっすぐで、誇り高く、規則正しく、
熱心に、戦士たちのこの生き生きとした歌声を吸い込んでいた。
その眼はときおり、老いた鷹のように開けられていた。
その大理石の額は、月桂樹のために作られているかのようだった。

 

IV

そうしてお前たちは、厳格に、嘆きもせずに歩く、
命ある都市の混沌を横切って、
遊女であれ聖女であれ、血の流れ出る心を持った、
かつては誰しもにその名を呼ばれた母たちよ。

優美さであり、栄光であったお前たちよ、
今では誰もお前たちに気が付かない! 無作法な酔っ払いが
通り過ぎざまに、馬鹿げた恋の言葉でお前を侮辱する。
お前たちの踵の上では、臆病で卑しい子どもがはしゃいでいる。

存在することを恥じ、皺だらけの影となり、
怯えながら背を低くして、お前たちは壁に沿って歩いていく。
誰もお前たちに挨拶などしない、奇妙な運命だ!
永遠に成熟した、人類の残骸よ!

しかし私は、私は遠くからそっとお前たちを見守り、
不安な眼をお前たちの不確かな足取りに注ぎ、
あたかもお前たちの父親であるかのように、おお奇跡よ!
私はお前たちに気付かれることなく秘かな快楽を味わう。

私はお前の未熟な情熱が花開くのを見る。
薄暗かろうと明るかろうと、私はお前の失われた日々を生きる!
幾つにも数を増した私の心は、お前たちの悪徳の全てを享受する!
私の魂は、お前たちの美徳の全てに光り輝く!

廃墟よ! 我が家族よ! 同類の脳たちよ!
私はお前たちに夜ごと荘重な別れを告げる!
お前たちは明日どこにいる、80歳のイヴたちよ、
神の恐ろしい鉤爪に押さえつけられた者たちよ?