『パリの憂鬱』46「後光喪失」

おや! どうしたのです! あなたがここにいるとは? あなたがこんな酷い場所にいるとは! 神髄を飲み、神饌を食すあなたが! 本当に驚くべきことですよ。

あなたはご存知でしょうか、馬や車に私がどれほど恐怖を抱いているのかを。先ほども、大通りを横切ろうとして、大急ぎで泥の中を跳ね回っていた時のことです。死があらゆる方向から駆け足でやってくる、このうごめく混沌の中で、私の後光が、突然の身動きのため、頭の上から滑り落ちて、敷石の上の泥の中に浸かってしまったのです。それを拾い上げるだけの勇気が私にはありませんでした。自分の紋章を失ってしまうほうが、骨を砕いてしまうよりも、まだましなことだと判断したのです。そして、独り言で、あることにおいては悪いことも良いことになっているものだ、と言いました。いまや私は素性を隠して歩き回ることができますし、低俗な行いだってできます。放蕩に身を任せることも、単なる人間たちのようにできるのです。今や私も、あなたが見てのとおり、あなたがたとすっかり同じなのです。

しかし少なくとも、後光の紛失を掲示させたり、警察に捜させたりしなければならないのではありませんか?

なんですって! そんなことはしませんよ。私はここが気に入っているのです。あなたくらいですよ、私に気がついたのは。とりわけ尊厳というものにうんざりしてしまったのです。それから、誰か無能な詩人が後光を拾って、恥じらいもなくそれをかぶったとしたら、と考えるだけで楽しいのです。誰かを幸福にするというのは、何と愉快なことでしょう! 特にその幸福な人が、私を笑わせてくれるとすれば尚更です! XやZが拾うのを考えてみてください、何て滑稽なことでしょう!