『パリの憂鬱』35「窓」

窓 LES FENÊTRES

開いた窓から外を見ている者は、閉じた窓から見ている者ほど多くの物を、決して見はしない。何よりも深遠で、神秘的で、豊かで、暗く、輝くもの、それは蝋燭の明かりに輝く一つの窓である。太陽の光の下で見えるものは、ガラスの向こうで起きていることより興味深くはない。真っ暗であったり、光り輝いていたりするこの裂け目の中に、人生が生き、人生が夢を見て、そして人生が苦しんでいる。

屋根の集まりの向こうに、私は一人の女性を見ている。年をとり、もう皺々で、貧しく、いつも何かに身を傾げ、けっして外に出ずにいる。その表情や、服装や、ごく何気ないことから、私はこの女性の物語を作り直した。むしろ彼女の伝説というべきか。そして幾度となく、私はそれを自分自身に聞かせては涙するのである。

もしそれが一人の哀れな老いた男だったとしても、私は同じように安々と彼の物語を作ったことだろう。

そして私は眠りに着く、私以外の他人の中に生き、そして苦しんだことを誇りに感じながら。

きっとあなた方は私に言うだろう。「その物語が本当のことだという自信がありますか?」と。そんなことはどうだっていい、私の外に置かれた現実がどうあろうと、どうだっていいではないか、その物語が私を生かし、私が生きていることを、私が何であるのかということを、感じさせてくれるのであれば。